平成9年、平成10年の2回北海道緑化推進委員会によるグリーンインストラクター養成講座や平成8年の北海道が
開催するホレストガイド養成講座はとても楽しい講座でした。
平成10年には北海道環境財団の自然解説員として登録して、足元の自然環境を町民と共に考える第1歩を踏み始めました。

 皆さんは樽に使われている材料はどんな木かご存知ですか、北海道に自生があるかないかわからず、
多くの方はカシ(樫)と答へ、少し英語の知識をもつ人は、オークと答えるでしょう。

 日本では明治の初め頃オークがカシと訳され、カシは堅すぎてイギリスのオーク家具のようなものはできないと思われ、
すごく高い値段でイギリスのオーク家具が輸入されていました。
また、北海道のナラ類を見たヨーロッパの人はこれこそ良質なオークと、日本人は雑木がお金になると思い、
両者の思惑が合致して1970年代まで輸出されていました。

 北海道東部にはコナラを除くミズナラ、カシワ、モンゴリナラが自生していて、かなり複雑な種間雑種が存在していると
北海道林業試験場の竹本専門技術員が言われてことを思い出すところが夢の面白いところです。

 町木に指定されているカシワを清見ケ丘で調べびっくりしました。なんとミズナラもかなりあることがドングリの傘で判明したのです。
その変化をみて驚いて無心にドングリを集めたものです。

 昔、もう30数年前のこと池田町がぶどう栽培を始めて頃になりますが、私の上司もやはりオークがナラ類だと知らないでいたのだから、
ワイン樽がナラから作られる事などしるよしもなし。
つい最近も、林業関係者で赴任早々の方にワイン樽の材料について質問したところ「樫」と答えたのだから、
いたしかたなしと思っています。

 ワイン樽はオークでつくり、材は環孔材なのだ、これは皆わからない、環孔材とはなんのことか、私は得意なり講義するのだから夢は果てしなく続くのです。

 日本の本州に自生しているカシの仲間にはウバメガシ、アカカシ、ウラジロカシなどがあり常緑でドングリの成熟に2年かかることと
ドングリの殻斗(ドングリ傘)の鱗片が輪になっていることで、ブナ科の同属ですがナラ類とは別のグループに分けられています。

 カシ類とナラ類との一番の大きな違いは、カシ類は放射孔材でナラ類は環孔材だということで、環孔材は熟成用樽材に利用したとき
導管にチロースと呼ばれる特殊の組織の発達があり液漏れを防ぐのと、タンニン、カテコールなどのポリフエノール類やその他の成分が
独特の香味を作り出すためワイン用の樽材に利用出来ますが、カシ類は放射孔材なのと木の成分がワインに不向きです。

 ワイン用の樽材は年輪幅が2mm以下の太さ80cm以上の節などの欠点のないオークの心材が柾目取で使用されていて、
北海道の用途別規準の年輪幅1,2mm以上は構造材、0,8mm以下は造作材に区分され利用されいて、既製品のホワイトオーク樽の
年輪を見ると年輪幅は5mm以下の材で柾目取りで構成されていて、地元のオークは年輪幅のみで考えると何ら問題がありませんが、
ワインはオーク樽の中で、木目を通して荒々しい若い香りを和らげ、酸素の規則的な溶け込み、おだやかな酸化よるエステル類の生成、
タンニン類などの重合による香味の変化、樽成分の溶け込みによるワイン成分との調和など大きな働きがあると本で読んだことを
ワインの専門家に話していました。